アマミキヨの伝説が伝えられる玉城城跡

那覇空港から車で約1時間、沖縄南部の南城市にある玉城城跡は別名「アマツヅ城」とも言われる、観光スポットである。

 

「島尻郡誌」によれば、開闢の神アマミキヨの伝説が伝えられるグスクである。

 

琉球王国時代から今に至るまで拝所として広く親しまれており、国王自ら五穀豊穣を祈願した場所であり、「東御廻い」の一つにもなっている。

 

特に本丸跡には琉球開闢の七つの聖地の一つされる「天つぎあまつぎの御嶽」(神名「アガル御イベ、ツルベ御イベ」)があり、巡礼行事の聖地として大切にされてきた場所である。

 

標高約180メートルのグスクで急な坂道を登ると、東北東に自然岩をくりぬいて造られた円形の城門があり、そこを潜り抜けると広場が広がる。

 

そこからは沖縄南部の海を一望できる絶好のスポットであり、見事な開放感である。

 

玉城城跡は1987年(昭和62年)には国の史跡にも登録されている。

 

ただし見学には足場の悪い場所が多いので、歩きやすいスニーカーなどがおすすめである。

3つの郭から構成されている玉城城跡

玉城城跡は一の郭、二の郭、三の郭から構成されており、階段状の山城である。

 

一の郭は当時の面影を良く残しており、ほぼ完全に近いかたちを見ることができる。

 

しかしニの郭と三の郭は戦後米軍が米軍基地用の建築用材として持ち出しており、当時の面影はほとんどなく石がわずかに残っているだけである。

 

築城の時期についてはっきりとしたことは分かっていないが、琉球開闢の神アマミキヨが築き、その子孫である天孫氏が城主であったと伝えられている。

 

また城壁が野面積みであることから今から約600年前、13〜14世紀ころの築城とされている。

 

歴代の城主についてはっきりとしたことは分かっていないものの、豪族の玉城按司が居城し城の改築を行ったとも言われている。

 

玉城城跡は沖縄の他のグスクと比べるとやや規模が小さいことから軍事的な要素を持っているというよりも、宗教的、祭祀的な性格を持っていたと考えられている。