五穀豊穣を願うお祭り

竹富島は人口350人の小さな島であり、昔ながらの赤瓦屋根ののどかな集落がありのんびりとした雰囲気のある島である。

 

しかし小さい島ながらも、芸能の島とも言われるほどに祭事が盛んに行われている。

 

中でも最大のお祭りと言われているのが「種子取祭(タナドゥイ)(タネドリ)」であり、毎年旧暦の9月、10月の甲申(きのえさる)の日から甲午(きのえうま)の日迄までの9日間にもわたって開催される一大イベントである。

 

この行事のために島外から竹富島に戻ってくる人も多く、まさに島民が一体となって参加する祭りである。

 

種子取祭は1977年(昭和52年)には、国の重要無形民族文化財に指定されており、清めた土地に種を蒔き、無事に育つことを願う五穀豊穣祈願のお祭りであり農耕に関する行事である。

 

このお祭りは約600年以上の歴史があると言われており、竹富島では昔は主食としていた粟の種を蒔くことが一般的であった。

 

竹富島では現在農業は行われていないものの古くからの儀式を受け継ぎ、この種子取祭を大切に継承している。

最大の見どころ・奉納芸能

お祭りの開催期間中は様々なイベントが行われるが、中でもそのハイライトといえるのが、奉納芸能である。

 

竹島には2つの村があるが、7日目の奉納芸能が玻座間村、8日目が仲筋村と決められている。

 

各集落が踊り(ブドゥイ)や狂言(キョンギン)など、約70を超える演目を披露し、それを一目見ようと多くの観光客が足を運ぶ。

 

この踊りは主に女性が担当し、ひょうきんさや勇壮な姿が求められる狂言は男性の担当である。

 

演目の内容は古くから竹富島で大切にしてきたものと、沖縄本島から伝承されてきたものが合わさって構成されている。

 

この2日間のための演者、道具や衣装やなどの準備は全て島民たちによって進められ、まさにこのお祭りに対する熱い思いを感じることができる。

 

竹富では古くから「かしくさや うつぐみどまさる」とよばれる言葉があり、「うつぐみ」とは「一致協力」を意味しており、「一致協力することが何よりも大切である」という意味を持つ。

 

まさに古くから島民が一丸となって助け合いの精神がそこにあり、祭祀を通してその心が育まれてきたことが分かる。