琉球王国とやちむん

やちむん通り

やちむん通り

南窯

南窯

「やちむん」とは沖縄の方言で「焼き物」を意味しており、その歴史は400年以上にも及ぶ。

 

1682年に琉球政府は、美里村の知花、首里の宝口、那覇の湧田と各地に点在していた窯場を、那覇の壷屋に集めたことがこの「やちむん」の歴史のはじまりである。

 

沖縄の国際通り近くに「やちむん通り」とよばれる、焼き物の工芸店やギャラリーが並ぶ通りがあり、どこかクラシカルな佇まいが人気の観光スポットとなりつつある。

 

通りには琉球石灰岩が敷き詰められており、赤瓦屋敷、かつての井戸、拝所などの昔ながらの面影を残しながら、約400メートルの通りに50軒ほどのお店が並んでいる。

 

この場所が選ばれた理由としては、質のよい土や水が確保できたこと、焼き物に使う燃料の調達に便利な場所であったことなどが挙げられる。

 

南側には荒焼の陶工のための南窯、東側には上焼の陶工を集めて東窯が造られたのである。

 

そして琉球王国時代おいて、王国への献上品であったやちむんは、たくさん生産されていく中で、次々と優秀な陶工が育っていったのだ。

 

やちむんには、荒焼と上焼の2種類があり、荒焼は釉薬を掛けず、マンガン釉をかけた陶器の総称をさす。

 

14世紀〜16世紀頃、ベトナム方面から伝わってきた製法で、沖縄中南部の土を使い約1120度で焼き上げる。

 

そのままの風合いを活かしているため、見た目は上焼と比べるとやや劣るものの、水や酒を貯蔵するため甕が主に使われている。

 

特に沖縄でよく見られるシーサーには、この荒焼で作られていることが多い。

 

一方で上焼は釉薬をかけて焼き上げる陶器の総称のことで、大陸由来のものだ。

 

陶土に白土をかぶせて、約1200度で焼き上げる。

やちむんの特徴

やちむんの特徴は様々であり日用的使えるものから、シーサーや遺骨を入れるもの、さらには近年はお土産に喜ばれそうなお洒落なデザインも増えてきている。

 

色彩鮮やかな絵付が多く、お椀、皿、急須、泡盛など、日用の食器に多く用いられている。

 

デザインは全体的にめでたいものが多く、魚、唐草、ボタン、梅などが多い。

 

いずれにしてもどっぷりとした形をしており、自然や魚などを大胆に描く鮮やかな絵柄がその特徴である。

 

中でも有名なのが、陶芸家の金城次郎氏で、魚をモチーフとしたデザインを数多く手掛けている。

 

優雅なやちむんは、食卓を華やかにしてくれる伝統工芸品と言えるに違いない。